隣の話し声が聞こえるたびに、「自分の声も筒抜けかも」と気になりますよね。
賃貸でも壁の防音対策はできます。
鍵は「遮音」と「吸音」を分けて選ぶことです。
一人暮らし経験者109人の調査では、約9割が壁の薄さや隣の音を経験していました(横浜男子の一人暮らしガイド調べ・クラウドワークス・2026年6月)。
宅建士の僕が、効果の限界まで正直にお伝えします。
逆に隣の音に困っている場合は、角を立てない騒音苦情の入れ方も読んでおくと安心です。
アパートの壁の防音対策、その前に知る音の基本

アパートの壁の防音対策は、まず「遮音」と「吸音」を分けることから始まります。
一人暮らし経験者109人の調査では、89.9%が壁の薄さや隣の音を経験していました(横浜男子の一人暮らしガイド調べ・クラウドワークス・2026年6月/以下、同調査)。

壁が薄いのは、あなたの部屋だけの問題ではありません。
仕組みを知れば、何にお金をかけるべきかが見えてきますよ。

「自分の音、漏れてない?」という不安、ご相談で本当に多いんです。
自分の咳や声、隣にどこまで聞こえる?
話し声や咳は、壁を通って隣に伝わりやすい音です。
空気の振動で伝わる「空気伝播音」だからです。
同調査で最も気になった音は、話し声(34.9%)、次いで足音(23.9%)、テレビ・動画(13.8%)でした。さらに同調査では、76.1%が「自分の生活音が迷惑になっていないか不安」と回答しています。


気にしているのは、あなただけではありません。
だからこそ、話し声や通話への対策が体感に効いてきます。
遮音と吸音は何が違う?
遮音は「音を通さないこと」、吸音は「反響を抑えること」です。
目的が真逆なので、混同に注意が必要です。
発泡スチロールやウレタンは吸音材で、部屋の中の反響は抑えますが、隣への音漏れ(遮音)にはほとんど効きません。
隣への音漏れを止めたいなら、重くて密度の高い遮音材を選びます。
ここを取り違えると、買っても効果を感じられません。
構造で変わる壁の遮音性(木造・鉄骨・RC)
壁の遮音性は、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造(RC造)の順に高くなります。
コンクリートのように重く密度が高い素材ほど、音を通しにくいからです。
ただしRC造でも、戸境壁の工法や施工によっては音漏れが起きます。「RC造だから安心」とは限りません。
「壁が薄いのは木造アパートだけではありません。RCつくりのマンションも壁が薄いです。」(50代)



内見では隣の生活音が聞こえるか、いつも確認します。RC造でも油断は禁物です。
アパートの壁にできる防音対策の種類


壁の防音対策は「貼る」と「置く・ふさぐ」の2系統に分かれます。
目的と、退去時の原状回復のしやすさで選び分けるのがコツです。それぞれの特徴を、下の比較表で先に確認しておきましょう。
| 対策 | 主な効果 | 原状回復 | 価格の目安 | 手軽さ |
|---|---|---|---|---|
| 遮音シート | 音漏れを軽減 | △(貼り方注意) | 中 | △ |
| 吸音材・吸音ボード | 反響を抑える | ○(貼り直し可型あり) | 中 | ○ |
| 吸音パネル(置く・立てる) | 反響を抑える | ◎(穴あけ不要) | 低〜中 | ◎ |
| 家具でふさぐ | 体感で軽減 | ◎ | 0〜低 | ◎ |
壁に貼る対策(遮音シート・吸音材)
音漏れを止めたいなら遮音シート、反響を抑えたいなら吸音材を壁に貼ります。
遮音シートは薄くて重いゴム状のシートで、壁の表側に貼ります。
吸音材はその内側で反響を抑える役割です。両方を重ねると効果が上がります。
ただし強い粘着で下地のクロスを傷めると、退去費に響きます。 剥がせるタイプかどうかを、買う前に確認しておくと安心です。



貼る系は下地を傷めると退去費に響きます。剥がせるか先に確認を。
置く・立てる対策(吸音パネル・家具)
穴をあけたくないなら、置くだけ・立てかけるだけの吸音パネルが手軽です。
デスクや床に立てかけて反響を抑えます。さらに本棚や収納などの家具を隣接する壁に寄せると、体感の音漏れが減ります。
どちらも原状回復のリスクがほぼないのが強みです。賃貸で一番気楽なのは、この「置くだけ」ですよ。
壁の防音シートはニトリで買える?
ニトリには壁に貼れる「吸音ウォールパネル」があります。ただし「防音シート」という壁用商品はありません。
吸音ウォールパネル(6枚セット)は14,990円です(ニトリ公式通販・2026年6月時点)。
なお、ネットで見かける高額な「ニトリ防音シート(壁用)」は第三者出品が多く、ニトリ製とは限らないので注意しましょう。



1.5万円は家具が一つ買える額。効果と予算をよく見比べるといいですよ。
ニトリで買える壁向け吸音アイテム
ニトリの壁向け吸音アイテムは「吸音ウォールパネル」が中心です。
6枚セットで14,990円の、壁に貼るタイプです(ニトリ公式通販「吸音ウォールパネル」)。
床の足音対策には「防音吸着ぴたパネルマット(4枚・1,590円/ニトリ公式通販)」もありますが、こちらは床用なので用途を間違えないようにしましょう。
検索で「防音シート」と出ても、ニトリの壁向けは吸音パネルが実体です。
「最近100均でも吸音パネルが売られるようになりました。手軽に手に入るようになったので試してみると良いと思います」(60代)
はがせる・置くだけで原状回復は大丈夫?
剥がせるタイプや置くだけのアイテムなら、原状回復のリスクは抑えられます。
その具体的な考え方は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(以下、原状回復ガイドライン)に示されています。
強力な両面テープで下地ごと剥がれると費用負担になるため、マスキングテープを下地にしてから貼ると安心です。
ニトリの吸音パネルの効果は?
ニトリの吸音パネルは、室内の反響を抑える効果が中心です。
隣への音漏れを大きく減らす力は限定的です。吸音材であって遮音材ではないからです。
壁の一面に十分な量を貼らないと、体感の差は出にくいのも事実です。過度な期待は禁物。でも「気休め」以上の効果はありますよ。
賃貸で一番効果が高い壁の防音対策は?


賃貸で一番効果が高いのは、遮音シートと吸音材の重ね使いです。
ただし壁だけの対策には限界があります。同調査で実際に壁の防音対策をした人はわずか5.5%、48.6%は「やろうと思ったが、していない」状態でした。
だから、完璧を目指さなくて大丈夫です。



数万円の対策費と引っ越し費用、私はいつも天秤で考えます。
遮音シート+吸音材の重ね使いが現実解
効果を高めるなら、壁側に遮音シート、その上に吸音材の順で重ねます。
遮音で音漏れを止め、吸音で反響を抑える、という役割分担です。本格的にやる前の代用として、こんな声もありました。
「遮音材としてダンボールは意外と効果があります。引越しの時や通販で余るダンボールを活用すると良いと思います」(60代)
数万円かけるなら引っ越しと天秤に
対策費が数万円を超えるなら、引っ越しと比べる視点が必要です。
壁の対策は効果が読みにくく、退去時に撤去の手間もかかります。遮音性の高いRC造へ住み替えれば、根本から解決することもあります。費用と効果のバランスで判断するのがおすすめです。
「自分で気になるなら対策をした方が気持ちが楽になると思います。」(50代)
「気持ちが楽になる」、これも立派な効果ですよ。
防音シート以外でできる壁の防音対策


お金をかけなくても、家具の配置と生活の工夫で音は減らせます。
対策していない人が多い今、ここが一番現実的な一歩です。お金をかける前にできることが、実はたくさんあります。
家具の置き方で変わる音の伝わり方
本棚や収納を隣との壁に寄せると、音の通り道をふさげます。重い家具ほど効果的です。
テレビやスピーカーは、隣接する壁から離して置くと音漏れが減ります。
僕が最初に住んだ東京・葛飾区の築25年のワンルームは壁が薄く、隣のテレビ音が聞こえていました。
本棚を壁際に寄せ、音量を少し下げたら、お互いの音がぐっと気にならなくなりました。
「家具を壁際に配置したり、厚手のカーテンやラグを使ったりするだけでも音の響きを軽減できます」(60代)



葛飾の部屋では本棚を壁際に寄せただけで、ずいぶん気が楽になりました。
音を出す時間と場所を見直す
通話や動画は隣接壁から離れた場所で、深夜と早朝は音量を控えめにします。
在宅会議の位置を変えるだけでも、漏れる声はぐっと減ります。ドアの隙間をふさぐのも効果的です。
「音の入口(ドアの隙間、ドア下のすき間)を塞ぐこと」(20代)
加害不安は、生活リズムの工夫だけでもぐっと軽くなりますよ。
壁の防音対策に限界を感じたときは


対策しても気になるなら、次の引っ越しでRC造や角部屋を選ぶのが根本解決です。
ただしRC造でも工法次第で音漏れはあるため、内見での確認が欠かせません。
宅建士として不動産記事を300本以上書いてきましたが、住み心地を一番左右するのは構造でした。
実際に僕も、東京から横浜へ移る引っ越しを経て、次に選ぶなら構造を最優先にしようと決めました。
間取りや部屋全体の住み心地も気になるなら、「一人暮らしは1Kで十分か?100人の本音と快適に暮らすコツを宅建士が解説」もあわせてどうぞ。



私も次の引っ越しからは、構造を最優先で選ぶようになりました。
アパートの壁の防音対策に関するよくある質問
壁の防音対策に関する疑問や不安を参考にしてみましょう。
- 防音シートは壁全体に貼らないと意味がない?
-
一部だけでは効果が限定的です。音が漏れている面を中心に、できるだけ広く貼るのが基本です。狭い範囲だと音が回り込み、体感の差が出にくくなります。
- 100均の防音グッズでも効果はある?
-
反響を抑える程度の効果は期待できます。ただし隣への音漏れを大きく減らす力は限定的です。まずは小さく試したい入門用と考えると、失敗しません。
- 賃貸で壁の防音工事はできる?
-
原則できません。壁に穴をあける工事は、大家さんや管理会社の許可が必須です。許可なく行うと原状回復で費用負担が生じるため、剥がせる範囲のDIYで対応するのが現実的です。
- 隣の音がうるさいとき、管理会社に相談してもいい?
-
相談して問題ありません。自分で対策する前に、管理会社や大家さんへ伝えるのが角を立てない方法です。共用部の張り紙など、第三者を通じた注意が有効なこともあります。
- 遮音シートと吸音材、どちらを先に買う?
-
音漏れを止めたいなら遮音シートが先です。室内の反響だけが気になるなら、吸音材で十分なこともあります。目的に合わせて選ぶと、無駄な出費を防げます。
まとめ:アパートの壁の防音対策は仕組み理解から
アパートの壁の防音対策は、遮音と吸音を分けて選ぶのが第一歩です。
今日のポイントを整理しておきますね。
- 一人暮らし経験者の89.9%が壁の薄さ・隣の音を経験している(同調査・2026年6月)
- 同調査で76.1%が「自分の音が迷惑かも」と不安。気にしているのは、あなただけではありません
- 効果が高いのは遮音シート+吸音材の重ね使い。ただし壁だけでは限界がある
- ニトリの壁用は「吸音ウォールパネル」14,990円。剥がせる工夫で原状回復に備える
- お金をかける前に、家具の配置と時間帯の工夫から始めるのが現実的
まずは一番気になる音を一つ特定して、置くだけの吸音パネルや家具の配置から試すといいですよ。
物件選びそのものから見直したい方は、横浜の部屋探し記事もあわせて読むと失敗を防げます。




この記事の執筆者
だいき
- 宅地建物取引士(宅建士)
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
- 不動産ライター歴3年・大手不動産メディアライター経験あり
- 不動産記事執筆数300本以上
- 横浜在住25年
参考文献
1)国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」 2)e-Gov法令検索「民法 第621条」 3)ニトリ公式通販「吸音ウォールパネル」 4)ニトリ公式通販「防音吸着ぴたパネルマット」









