更新の案内がポストに届くと、「払わずに引っ越せないかな」と考えますよね。
結論、更新日までに退去を終えれば更新料はかかりません。
更新料は契約を更新する場合の費用で、退去する人には発生しないからです。
ただしタイミングを1日でも誤ると払う羽目になるので、順番に押さえていきましょう。
更新料を払わずに退去できる?タイミングが鍵
更新料を払わずに退去することは可能です。
自社調査(首都圏で一人暮らし経験のある100人・2026年6月時点)では、回答者の74%が更新時に「更新して住み続けた」と回答しました。
逆にいえば、タイミングさえ合わせれば払わずに出ていく道もあるということです。
更新料とは?かかる理由
法律上の規定はなく、地域の慣習として残っている費用です。
つまり「契約を続けるためのお金」なので、契約を終わらせて退去するなら、本来は支払う必要がありません。
更新料そのものの意味や相場をもっと知りたい方は、「賃貸の更新料の意味がわからない人へ|なぜ払う?相場・交渉まで宅建士が解説」も参考になりますよ。
更新料を払わずに退去できる「更新日と退去日」の関係
更新料を払わずに退去する条件は、契約の更新日までに退去を完了することです。
更新日をまたいで住み続けると契約が更新され、更新料が発生します。
たとえば更新日が4月1日なら、3月31日までに部屋を明け渡し、解約手続きを終えておけば更新料はかかりません。
私も台東区から横浜へ移る際、まず解約予告の期限を確認しました。ここは見落としがちです。
解約予告期間の落とし穴
多くの物件で1〜2か月前と決められています(物件により異なります)。
ここを忘れると、退去日を更新日に間に合わせられず、更新料を払うことになります。
実際に、アンケートでもこんな声がありました。
「更新前に引っ越す場合は、一ヶ月以上前から解約の申し込みが必要な場合が多いので、行き当たりばったりで決めないこと。」(29歳)
退去を決めたら、まず次の4点を確認しておくと安心です。
- 契約書に書かれた更新日
- 解約予告の期間(1〜2か月前が多い)
- 逆算した解約通知の期限
- 退去の立会い日
更新料の種類は?合意更新と法定更新の違い
更新には「合意更新」と「法定更新」の2種類があります。
法定更新でも、契約書しだいで更新料を請求されることがあります。
「自動更新だから払わなくていい」と思い込むと損をするので、違いを知っておきましょう。
合意更新とは
管理会社から更新案内書が届き、書類にサインして更新料を払う、という一般的な流れがこれにあたります。
更新後の家賃や条件を、当事者の合意で決め直せるのが特徴です。
法定更新とは
期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶などの通知がなければ、従前と同じ条件で更新したとみなされます(参照:e-Gov法令検索「借地借家法」)。
借主が住む場所を失わないための、借主を守るしくみです。
契約書の「特約」を必ず確認
法定更新になっても、契約書に「法定更新の場合も更新料を支払う」と書かれていれば、更新料が発生します。ここが多くの人の盲点です。
「合意していないから払わない」と単純には言えないので、契約書の更新料条項に目を通しておきましょう。

契約書に「法定更新を含む」とあると更新料が発生します。私が必ず確認する箇所です。
更新料を払わないとどうなる?退去・裁判のリスク
契約書どおりの更新料を、正当な理由なく払わないのはリスクがあります。
契約解除や訴訟につながる可能性があり、更新料そのものは原則有効とされています。
「払わなければなんとかなる」は危険な考え方なので、起こりうることを知っておきましょう。
強制退去になる?
更新料を払わないだけで、すぐに強制退去になるわけではありません。
退去が認められるかは「信頼関係が壊れたといえる程度か」で判断されます(信頼関係破壊の法理)。
とはいえ、滞納が続けば契約解除の理由になり得ます。「黙って踏み倒す」のは一番避けたい選択です。
更新料は裁判で有効?
更新料は、契約書に金額や時期が明確に書かれていれば原則有効です。
最高裁判所第二小法廷 平成23年7月15日判決が、この考え方を示しました。
判決では「契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条には当たらない」と判断されています(参照:裁判所 裁判例検索「最高裁平成23年7月15日判決」)。
ただし、金額が高すぎる場合は無効になる余地も残されています。
滞納したときの遅延損害金
家賃や更新料を滞納すると、遅延損害金(支払いの遅れに対する損害賠償)がかかります。
個人が居住用で借りる契約では、消費者契約法第9条第1項第2号により年14.6%が上限で、これを超える部分は無効です(参照:e-Gov法令検索「消費者契約法」)。
払わずに放置すると、結局よけいな出費が増えてしまいます。



更新料を無視して滞納するのは、私の経験上おすすめしません。リスクが大きいです。
退去が更新に間に合わないとき|交渉と猶予の方法
物件探しが更新日に間に合わないときは、更新料の猶予・分割・減額を相談できます。
ただし実際に交渉する人は少数で、応じるかは大家の判断しだいです。
自社調査(首都圏100人・2026年6月時点)では、更新時に85%が「とくに何もしなかった」と回答しました。
過度な期待はせず、できる範囲で動くのが現実的です。
支払いを待ってもらう・分割は相談できる?
更新料の支払い猶予や分割は、相談する価値があります。
アンケートで「支払いを待ってもらう・分割を相談した」人は4%でした(首都圏100人・2026年6月時点)。
少数ですが、事情を正直に伝えれば応じてもらえるケースもあります。まずは管理会社へ早めに連絡しましょう。
更新料の減額交渉のコツ
更新料の減額交渉は可能ですが、通る確率は高くありません。同調査で「減額を交渉した」人は3%にとどまりました。
空室が多い物件や長く住んでいる入居者は、比較的応じてもらいやすい傾向があります。
強気に出すぎず、相場を踏まえてお願いするのがコツです。



私が見てきた中でも、減額が通るのは空室が多い物件が中心です。過度な期待は禁物です。
更新後すぐ引っ越す場合の注意
更新料を払った直後に引っ越しても、更新料は原則返ってきません。日割りでの返金もないのが一般的です。
「とりあえず更新して、数か月後に引っ越そう」と考えると、更新料がまるごと無駄になります。引っ越す予定があるなら、更新前に動くのが得策です。
交渉できること・できないことを整理しておきましょう。
| 交渉できること | 交渉できないこと |
|---|---|
| 支払いの猶予や分割の相談 空室が多い物件での減額のお願い | 払った更新料の返金・日割り精算 契約書どおりの更新料の一方的な拒否 |
更新と引っ越し、どちらが得?費用で比較
更新料1か月分と、引っ越しの初期費用を総額で比べると、多くのケースで「更新して住み続ける」ほうが安く済みます。
自社調査(首都圏100人・2026年6月時点)でも「更新したほうが得だった」が51%で、「引っ越したほうが得だった」の11%を大きく上回りました。
目先の更新料だけで判断すると、かえって損をしやすいんです。
更新で必要な総額
更新でかかるのは、更新料だけでなく以下の費用がかかります。
- 火災保険の更新料
- 保証会社の更新料
- 事務手数料
アンケートでは更新時に火災保険の更新が41%・保証会社の更新が23%・事務手数料が22%で発生していました(首都圏100人・2026年6月時点)。
家賃1か月分の更新料に、これらが上乗せされるイメージです。
とはいえ、引っ越しに比べれば総額はかなり小さく収まります。
「更新料だけを見れば高いと感じましたが、引っ越しにも敷金・礼金や仲介手数料、引っ越し代など想像以上に費用がかかるため、結局更新を選びました。」(46歳)
引っ越しで必要な総額
引っ越しの初期費用は、家賃の4.5〜5か月分が目安です(SUUMO・2025年9月時点)。
家賃6万円なら、初期費用だけで27〜30万円ほどかかる計算です。さらに引越し代や家具家電の費用も加わります。
更新料を惜しんで引っ越すと、何倍もの出費になりかねません。
家賃6万円・1Kのモデルケースで比べると、差は一目瞭然です。
| 項目 | 更新して住み続ける | 引っ越す |
|---|---|---|
| 主な費用 | 更新料(家賃1か月分)+火災保険・保証の更新 | 初期費用(家賃4.5〜5か月分)+引越し代 |
| 目安の総額 | 約7〜9万円 | 約30〜36万円+家具家電費 |
| 手間 | ほぼなし | 物件探し・契約・荷造り |



私はいつも2年間の総額で比べます。更新料より引っ越し代のほうが高くつきがちです。
実際の後悔の声も見てみましょう。
「目先の更新料を惜しんだせいで結果的に大きな出費になってしまったのは少し後悔しています。」(32歳)
なお、男性回答者(n=38)でも「更新したほうが得だった」が50%で、全体とほぼ同じ傾向でした。
更新料を理由に引っ越しを意識した人は全体で56%おり、悩むテーマであることがうかがえます。
横浜で更新料なし・安い物件に乗り換える選択肢
「どうしても更新料を払いたくない」なら、更新料なしの物件への乗り換えも選択肢です。
同調査では更新料が「0円だった」人が20%いました(首都圏100人・2026年6月時点)。
更新料なしの物件は一定数あるということです。次に引っ越すなら、更新料の有無も条件に入れて選ぶといいですよ。
横浜エリアでの探し方は、「一人暮らしの物件探しのコツ8選!宅建士が失敗談から解説」も参考にしてみてください。



横浜は更新料なしの物件も探せます。私の住む西区でも見かけますよ。
「更新料を払わずに退去」に関するよくある質問
- 更新料を払わないと信用情報に傷がつく?
-
更新料の未払いだけで、ただちに個人信用情報機関(CIC等)に事故情報が載るわけではありません。
ただし、信販系の家賃保証会社やクレジットカード払いの場合は、滞納が続くと影響する可能性があります。
心配な場合は、保証会社の種類を契約書で確認しておくと安心です。
- 更新日の何日前までに退去すれば更新料はかからない?
-
契約上の更新日の前日までに退去を完了すれば、原則として更新料はかかりません。
ただし、解約予告(多くは1〜2か月前。物件により異なります)を期限内に出す必要があります。
通知が遅れると更新日をまたいでしまうので、早めの連絡が大切です。
- 更新料は値切れる?
-
交渉自体は可能ですが、減額は大家の判断しだいです。
契約書に金額が明確に書かれた更新料は原則有効とされるため、必ず下がるわけではありません。
空室が多い物件では応じてもらえることもあるので、相場を踏まえて相談してみましょう。
- 更新料を払って数か月で引っ越したら返金される?
-
原則として返金されません。更新後すぐに退去しても、日割りでの返金はないのが一般的です。
引っ越す予定があるなら、更新料を払う前に動くほうが無駄がありません。
- 更新料の相場は?
-
地域の慣習で異なりますが、首都圏では新賃料の1か月分が目安です。自社調査(首都圏100人・2026年6月時点)では、更新料の最多回答が7万円以上(22%)で、家賃帯(6〜8万円台が中心)を踏まえると1か月分前後にあたります。
一方、更新料が0円の物件も2割ほどありました。
まとめ:更新料を払わず退去するための判断ポイント
更新料を払わず退去する基本は、更新日までに退去を完了することです。最後に要点を整理します。
- 更新料は契約を更新する場合の費用。更新日の前日までに退去すれば原則かからない
- 解約予告は1〜2か月前が多い。期限を逆算して早めに通知する
- 契約書に「法定更新を含む」とあれば更新料が発生する
- 無断の滞納はリスク大。更新料は契約書に明記があれば原則有効(最高裁・平成23年判決)
- 総額では「更新したほうが得」が51%。引っ越しは初期費用が家賃4.5〜5か月分かかる
更新案内が届いたら、まず契約書の更新日と解約予告期間を確認するのが第一歩です。損をしない選択のために、次の記事もあわせて読んでみてくださいね。
- 更新料の意味・相場がわからない方向けの記事
- 横浜の物件探しのコツをまとめた記事
- 退去費用で払わなくていいものを解説した記事
この記事の執筆者
だいき
- 宅地建物取引士(宅建士)
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
- 不動産ライター歴3年・大手不動産メディアライター経験あり
- 不動産記事執筆数300本以上
- 横浜在住25年
参考文献
1)裁判所「最高裁判所第二小法廷 平成23年7月15日判決」(民集第65巻5号2269頁) 2)e-Gov法令検索「借地借家法」第26条 3)e-Gov法令検索「消費者契約法」第9条・第10条 4)SUUMO「賃貸契約に必要な初期費用(敷金礼金など)の相場はどのくらい?」(2025年9月時点)








